日本人のそばにいつも「手ぬぐい」

夏のお祭りなどで配られる手ぬぐい。その歴史は古く1300年前の奈良時代に使われていた平織りの布片が現在の手ぬぐいの原形といわれています。
その後、平安の世で儀礼の中で使われた手ぬぐいは、江戸時代に入り綿織物の普及とともに、広く庶民の必需品になっていきました。この頃の庶民が手ぬぐいを使用している様子が浮世絵にも描かれていることから、生活の中で親しまれていたことが伺えますね。
手ぬぐいは染色方法や材料となる晒(さらし)の違いなどでいくつかの種類に分けられますが、正式な手ぬぐいは、他の布製品と違い必ず両端が切りっぱなしになっています。つまり、縫い目がなく、乾きやすい・縦に裂きやすいという利点があります。
これは日本人の知恵で、普段は荷物を包んだり汗を拭いたりするのに使っている手ぬぐいを、下駄や草履の鼻緒が切れてしまったときにはそれを割いて鼻緒の代わりに挿げたり、細く割いた布を縛ってつなげて長い紐として使ったりできるように、裂きやすくしてあるのだそうです。
切りっぱなし部分は、使い始めはほつれてきますが、ある程度ほつれたところで止まるので、出て来た糸を切って使うといいそう。
明治、昭和の時代には主にハンカチとして重宝されてきましたが、近年では様々な絵柄が出てくるようになり、おしゃれとして持ち歩く人も増えていきました。素敵な柄の手ぬぐいは裂いてしまったりせずに、額縁に入れて飾っておく、という使い方もあります。

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